映画版「CATS」ようやく見てきました。

前にも書きましたが、映画版「キャッツ」を見てきました。

映画版「キャッツ」は駄作かな?

大ヒットミュージカル「キャッツ」は日本では劇団四季でいまでもロングラン上演中です。映画版はオリジナル舞台とほぼ同じ演出(当たり前ですが)でした。ヤフーでの評価も低かったしネットでも「気味が悪い」とか散々な評判でしたので、あまり期待はしていませんでした。見た当日は平日のお昼のせいもあり場内はガラガラでした。私の住んでいる田舎ではそもそも「キャッツ」を知らないのかもね。1981年にロンドンで初演されて以来40年の期間を経ての映画化でした。

監督は「レ・ミゼラブル」でアカデミー賞を受賞したトム・フーバーを、猫たちに有名俳優や人気シンガーを起用しているようですが猫の巧妙なメーキャップで誰が誰やら皆目わからずでした。制作にはC.Gもふんだんに使われていてかなりお金がかかっていると思われました。しかし映画の出来はいま一つといったところでしょうか。ダンスやバレーのシーンはさすがと思いましたが・・・

一番がっかりしたのは最大の見せ場である「メモリー」のシーンでした。黒人の俳優が歌ったのです。最近のハリウッドの傾向として黒人、ヒスパニック、東洋系の役者の台頭があります。白人至上主義が批判されてからのこと傾向が顕著です。「キャッツ」の原作者T.S.エリオットがこの作品を書いたころのロンドンには黒人は少数だったはずです。差別する気持ちはありませんが黒人の俳優さんを使ったのは失敗だったのではないでしょうか。黒人特有のソウルフルな歌唱はオリジナルになれた耳には違和感がありました。そういえば東洋人のふんした猫も出ていました。ハリーポッターのヒロインに中国人が起用される時代ですから・・・中国の大きなマーケットを狙いたいのは分かりますがあまりにもあざとい。

見たのが字幕スーパー版でした。劇団四季に慣れた私として吹き替え版も見たいところですがまだ見ていません。今回の映画版を見て劇団四季、浅利啓太の訳詞、演出のすばらしさを再認識しました。四季版でも最初のオリジナルキャスト版が一番の出来ではないでしょうか。C.Gの進歩でどんなシーンでも映像で表現できる世界になりました。映画版「ライオンキング」が典型ですがどんなに精巧に表現できたとしても作り物感が目についてしまいます。舞台で表現される役者の息づかい、汗、感情のほとばしりをC.Gでは表現できません。見るほうが感情移入できないのです。

映画版「キャッツ」はフルC.Gのバックに役者が演ずるという感じで中途半端な印象でした。いっそのこと実際の舞台を豪華に演出して映画撮影したほうがよかったのではないでしょうか。

NHKのららら♪クラシックでキャッツを取り上げていました。

ちょうどNHKのららら♪クラッシクで「キャッツ」を取り上げていました。吹き替え版でグリザベラ役の高橋あず美さん、ミストフェリーズ役の森崎ウインさん、吹き替え版の音楽プロデューサーの蔦谷好位置さんが出演していました。蔦谷好位置さんは関ジャムによく出てますね。

この番組ではT.S.エリオットの原作の紹介、作曲者アンドリュー・ロイド・ウエーバーの生い立ち、作品完成の裏話、また歌われている曲のクラシック要素も紹介されていました。そして高橋あず美さんの「メモリー」を最後に聞けます。

彼女はソウルフルな歌唱でアメリカで高く評価されているのですが映画版の「メモリー」に合わせた人選なような気がします。私としては劇団四季のオリジナルキャストで吹き替えするのが一番良かったのではと思うのですが。

さんざん映画版にケチをつけましたが、映画館を出るときにズーと「メモリー」のメロディーを口づさんでいました。やっぱり名曲は不滅ですね。